2011年5月 4日 (水)

マンガを熱く語る 2011-2 『るろうに剣心』(全22巻)

幕末に最強の剣豪として名を馳せた「人斬り抜刀斎(ひときり ばっとうさい)」は、時代が明治と変わると共に姿を消した。

抜刀斎は、「剣心」と名を変え、流浪の旅をしていた。そんな中、東京で1人の少女と出会う。

 

主人公である剣心は、明治になると同時に、不殺(ころさず)の誓いを立て、刃が逆についた「逆刃刀(さかばとう)」を携え、あてもなく旅をしていた。

これが、本書のタイトルが「るろうに=流浪人」たる所以である。

一方、この物語の第1話は、剣心が「流浪をやめ、東京に滞在しはじめた瞬間」を描いている。

そう、実は「るろうに剣心」とは、「るろうに」である剣心が、「自分の居場所」を見つける物語なのだ。

 

物語の途中、剣心は、過去に因縁のあるもう1人の人斬り「志々雄真(ししお まこと)」を倒すため、再び流浪人に戻り、東京を1人離れ、京都に向う。

ここで物語は大きな転換を向える。

剣心は、京都に向う途中、志々雄の部下にも勝てないほどの「弱さ」をさらけ出す。

その剣心が強さを取り戻すのは、東京から仲間が駆けつけたのとほぼ同時に「奥義」を会得したときだ。

これは偶然の一致ではなく、剣心が、仲間、つまり「守るべき人」なくして「奥義」を習得しえなかったことを示している。

 

本作では、この「守る強さ」と「倒す強さ」が大きく区別して描かれる。

それをもっとも象徴するのが、物語の終盤に描かれる、宿敵、斎藤一(さいとう はじめ)との決闘のシーンだろう。

「守る強さ」を極めた剣心と、「倒す強さ」を極めた斎藤一との物語なくして、本作は完結し得なかった。

 

最終的に、剣心は「守るべき人」と「守るべき場所」を手に入れた代償に「倒す強さ」を失う。

しかし、そこには「未来への希望」が溢れている。

 

Essere_book_store_link_3

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月 9日 (土)

マンガを熱く語る 2011-1 『MIND ASSASIN』(全3巻)

日本史上、最高のマンガといったらこれしかない、と断言できる傑作。

ナチス・ドイツで開発された「記憶を破壊する能力」を持った暗殺者「マインド・アサシン」は、第二次世界大戦後、姿を消した。

主人公、奥森かずいはその子孫であり、ドイツ人の祖父を持つクォータ・ハーフの日本人として、内科医を営んでいた。

奥森医院にやってくる患者の応対をするうち、奥森は、患者が抱える悩みや苦しみを知る。ときには、その元凶たる人物を能力を使って抹殺し、ときには、患者の記憶を消すことで、その心を救っていく。

普通のヒーローモノと大きく異なるのは、奥森自身が、自分の能力を忌み嫌っている点だ。

彼は常に「命を救う医者」と「記憶を壊す暗殺者」との間で葛藤する。

また、記憶を消されることで救われた患者とは対照的に、奥森は、患者の苦しみを背負い続ける。

それなのに、奥森は常に優しい。

彼の優しさこそが、この物語の唯一の救いなのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)