2011年5月 3日 (火)

Bookレビュー2011-28 堀江貴文『成金』

ホリエモンこと堀江貴文氏の小説第2作。

前作『拝金』から10年ほど遡った1990年代が舞台。

『拝金』で「オッサン」として登場する堀江建史が主人公として描かれる。

あとがきでも触れられているが、「成金」とは将棋の「歩から金になる」ことの意。

歩のようにひたすら前進していき(ベンチャー企業)、いつか金に成る(事業拡大や上場)という夢を持った起業家を描いた、生々しく泥臭いストーリー。

本作では、主人公も含めた3人の事業家がダークヒーロー的に描かれながらも、最後に真の黒幕が明かされ、それが前作『拝金』へとつながっていく。

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2011年4月30日 (土)

Bookレビュー2011-27 ウィリアム・バウンドストーン『プライスレス』

タイトルの「プライスレス」とは、「人生はプライスレス」のような「価値が付けれないほど尊い」という意味ではなく、「価格には実体がない」という意味。

著者自身が新しい提言をしているのではなく、行動経済学そのものについて、わかりやすくまとめた本になっている。

行動経済学とは、「常に正しい経済行動をする人間」を否定し、「人間の経済行動は心理的な側面に大きく影響を受ける」という、ある意味では、当たり前のことを研究している分野である。

プロスペクト理論、プライミング、アンカリングといった専門用語が登場するが、それは日常生活ととても深い関わりがあるので、馴染み易いだろう。

「ハート型の小さいチョコとゴキブリの形をした大きいチョコではどちらが売れるか」、または「2000円を拾った後で200円を失うのと、1800円を拾うのでは、どちらが幸せに感じるか」、といった事例が、多数紹介されている。

つまり、商品に支払う金額や満足度は、そのときの気分次第なのだ。

もしあなたが、販売価格を決定する仕事に就いているなら、ぜひ読んでおくことをオススメする。

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2011年4月27日 (水)

Bookレビュー2011-26 昭文社ムック『工場見学 京阪神』

工場見学ができる工場を紹介したガイド本。

「工場夜景の特集」から、「工場での試食・試飲」、「製作体験」など、楽しめる工場が盛りだくさん。

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Bookレビュー2011-25 『地域の力で自然エネルギー!』

「自然エネルギー礼賛本」ではなく、それぞれのエネルギーについて課題を提示しながらも、「地域」に注目して活用を模索している。

たとえば、漁業組合による波力発電、農村や集落による超小型水力発電(水車)、温泉地による地熱発電、林業者によるバイオマスなどである。

つまり、それぞれの本業を行いながら、副業としてエネルギー生産を行う、というモデルだ。

それと同時に、電力会社による一極集中型のエネルギー生産ではなく、分散型のエネルギー生産を提案している。

また、本書で強調されているのは、日本の「資源」についてである。

それは、世界平均の2倍の降水量であり、急な河川勾配であり、世界トップクラスの森林面積率であり、世界の10%を占める火山であり、世界6位の距離を誇る海岸線である。

これらを「資源」と捉え、かつ「地域性」を活かした「適材適所」のエネルギー生産を、本書は提案している。

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Bookレビュー2011-24 常見陽平『「キャリアアップ」のバカヤロー』

 

キャリア論の本ではなく、転職論、というかアンチ転職論。

特に、著者の知識・体験から語られる2章や3章は面白い。

一方、個人的には2回転職をしていて(うち1回は倒産が理由だが)、転職のたびに労働時間が減り、給与が上がり、やりがいが増えているので、転職には賛成派である。

また、仕事をしながらでも、転職活動をしてみたら、いろんな発見があると思う。転職活動をすると、「一体、自分の仕事は何なのか」を考えざるを得ない。

とはいえ、僕の転職が「キャリアアップ」かというと、全然そうは思わない。

「自分ができる仕事の価値」が上がらないと、何もアップしない。

転職は、「横幅」は広がるが、アップはしない、という印象だ。

 

キャリアとは、足跡のようなイメージである。

歩けば、足跡は増える。

迷っていても、歩けば、増える。

止まっていると、増えない。

とはいえ、足跡を増やすのが目的ではない。

足跡が役に立つとすれば、「振り返れば自分が歩いたことが確かめられる」、または他人に「あそこ、僕が歩いたんですよ」と言える、という程度だ。

では、歩く目的は何か?

歩いていれば、新しい風景が見える。

高いところに上がれば、それだけ、遠くまで見える。

つまり、「見たい」のだ、たぶん。

 

 

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2011年4月24日 (日)

Bookレビュー2011-23 『ONE PIECE STRONG WORDS(下)』

例によって、内田樹氏の解説を読みたくて購入。

(上)では、主に『ワンピース』の世界観について考察されていたが、(下)ではキャラクターについて考察されている。

ウソップを「語り部」としているのは非常に共感。彼は「物語る存在」として「物語」には欠かせないだろう。

ウソップは『ドラゴンボール』のクリリンであり、『幽々白書』の桑原であり、『ダイの大冒険』のポップであり、『スラムダンク』の小暮であり、『るろうに剣心』の弥彦である。(うーん、年齢がバレるな)

超人的なキャラクターが多数活躍するマンガにおいて、唯一、読者に寄り添ってくれる存在なのだ。彼らの「弱さ」なくして、読者は物語に参加できないと言っても良い。

 

一方、ルフィは、幽助でもなく、ダイでもなく、桜木花道でもなく、剣心でもない。独特な存在だ。内田氏はそれを「ゴムのような伸びやかさ」と表現している。

唯一、ルフィと共通する主人公といえば、初期の『ドラゴンボール』の悟空だろう。ドラゴンボールを集めるために世界を駆け巡る悟空と、世界の海を旅するルフィには重なる部分が多い。

悟空はその後、ピッコロ大魔王との出会いをきっかけとして、「質実剛健な戦士」となったが、ルフィは一体どうなるのか、興味深いところである。

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Bookレビュー2011-22 大村敦志+東大ロースクールゼミ『22歳+への支援』

東大ロースクールのゼミ生によるリサーチレポートを書籍化したもの。

「ロースクール」という非常に特殊な大学院に通う学生に対しての支援状況を、ロースクール生自らが調査する、という異色の本。

ロースクール(=法科大学院)とは、法曹(弁護士・検事・裁判官)になるための試験である「新司法試験」を受験するために修了しなければならない大学院である。

これまでのように法律ばかりを勉強した人でなく、一般企業経験者など多様な人材を法曹として輩出することも目的としており、学生の年代も様々(22歳~高齢者)で、主婦などもいる。

法曹になるには、大学卒業→ロースクール卒業(または予備試験合格)→新司法試験合格→司法修習生修了という幾重ものハードルを越えなければならない。

特に、ロースクール卒業→新司法試験合格のプロセスが問題で、ロースクール在学中には試験は受けられない。

つまり、奨学金を受けている場合、その年の試験に受かるかどうかわからない(合格率は50%未満)のに、ロースクール卒業と同時に奨学金の返済義務が生じてしまう。

もちろん、人生がかかった試験を控えているので、アルバイトに力を入れることもできない。

これら以外にも、本書ではロースクールという制度に対する問題提起が学生自身から投げかけられており、多くの制度改善が求められているように思う。

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Bookレビュー2011-21 藻谷浩介『デフレの正体』

人口と経済の関係について論じた本。

また全編を通して、データを見る際には「率」ではなく「絶対数」に注目して見るということを呼びかけている。

とても面白いのは、これまでの日本経済や社会の動きを、人口だけで説明できてしまっているところ。

まず、高度経済成長期になったのは、戦後のベビーブームで大量に生まれた世代(=団塊世代)が20代を越え、労働者となり、生産と消費を担ったから。

その後、バブル、とくに不動産バブルがやってきたのは、団塊世代が壮年期を向えて住宅購入期に入り、住宅の需要が急激に高まったから。

バブルがはじけたのは、団塊世代が年代別人口の最大値であり、それ以降、住宅市場が縮小することを見抜けていなかったから。

就職氷河期がやってきたのは、団塊ジュニアと呼ばれる「もう一つの世代人口の山」があり、単に「働き口より、人口が多かった」から。

その後、戦後最長の好景気があったにも関わらず、好景気の感じがしなかったのは、好景気の恩恵を受けたのは主に大企業であり、それはつまり株主であり、それはつまり富裕高齢者であったため、消費に回らなかったから(日本全体としてのお金は増えたにも関わらず、消費が増えなかったことがデータで示されている)。

 

さて、本書では提言として、団塊世代の定年退職による人件費の減少分を企業利益(=株主利益=富裕高齢者利益)とするのではなく、現役労働者、特に購買意欲の強い若年層への所得増を行うべきと主張している。

それにより消費が増え、結果として企業収益も高まるという。

これはすごく当たり前のことだ。給料を減らせば、消費が減って、企業の収益は下がる。こんなことがわざわざ本に書かれるなんてどうかと思う。

ただ一方で、今の若者は、将来的に所得増が見込めない状況を想定しており、「少ない収入の中で満足すること」に順応している。「嫌消費世代」とも言われるほどである。

つまり、若者がお金を得たからといって、日本経済に貢献する(日本製品を日本で買う)かどうかは不明だ。むしろ、海外支援をしたりする若者のほうが多いかもしれない。

とはいえ、1400兆円の国民貯蓄のうち400兆円を占めている65歳以上の貯蓄に、流動性を持たせる方策は必要だろう。

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2011年4月17日 (日)

Bookレビュー2011-20 山中茂樹『いま考えたい 災害からの暮らし再生』

大規模な災害が起きたとき、「暮らし」には何が起こり、「再生」とは何なのか、を論じた本。

東京大震災以後の国内の災害と、それらへの対応を検証している。

また、本書では、災害が起きた場合、そこから遠く離れた場所に復興住宅を建設するよりも、被災地で、たとえバラックからでも復興を図るべきだ、という主張をしている。

これは、「復興」の中でも「コミュニティの復興」を重視しているためだ。

災害以前と以後では、年齢層のバランスをはじめ、コミュニティが崩壊してしまう。

そのため、災害を契機とした「発展的な都市開発」には否定的である。

 

とはいえ、東日本大震災の津波の被害を受けたような地域に、再度、同じようなまちづくりとコミュニティを再形成しよう、というのは、将来的な安全面からも難しい。

(本書は東日本大震災以前に書かれているので、この点は念頭に置かれていない)

「出来る限りそのままの形を取り戻す」という理想的な復興は、「既存のコミュニティが、適正な場所に適正に存在していたか」という検証なくしては実現できないだろう。

 

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2011年4月 9日 (土)

Bookレビュー2011-19 『ONE PIECE STRONG WORDS(上)』

新刊発売時の発行部数が300万冊を越え、中古やマンガ喫茶で読んでる人も含めると、なんか日本ではもう読んでない人のほうが少ないんじゃないかと思わなくもない『ONE PIECE』の名言集。

まぁ、正直、本としてちょっとどうかと思うが、内田樹氏の解説は読み応えがある。

読み応えはあるが、うーん、どうなんでしょうね。ONE PIECEの人気は、世界観が主要因だろうか。

あまりONE PIECEに詳しくないのだが、これだけ日本で受け入れられた要素としては、絵が親しみやすい、というシンプルな理由が思いつく。

あと、けっこう、絵の表現技法は斬新だなぁ、と思う。

「友達のために戦うのが最強」というのは、確かに、新しいコンセプトかもしれない。

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