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2011年4月24日 (日)

Bookレビュー2011-21 藻谷浩介『デフレの正体』

人口と経済の関係について論じた本。

また全編を通して、データを見る際には「率」ではなく「絶対数」に注目して見るということを呼びかけている。

とても面白いのは、これまでの日本経済や社会の動きを、人口だけで説明できてしまっているところ。

まず、高度経済成長期になったのは、戦後のベビーブームで大量に生まれた世代(=団塊世代)が20代を越え、労働者となり、生産と消費を担ったから。

その後、バブル、とくに不動産バブルがやってきたのは、団塊世代が壮年期を向えて住宅購入期に入り、住宅の需要が急激に高まったから。

バブルがはじけたのは、団塊世代が年代別人口の最大値であり、それ以降、住宅市場が縮小することを見抜けていなかったから。

就職氷河期がやってきたのは、団塊ジュニアと呼ばれる「もう一つの世代人口の山」があり、単に「働き口より、人口が多かった」から。

その後、戦後最長の好景気があったにも関わらず、好景気の感じがしなかったのは、好景気の恩恵を受けたのは主に大企業であり、それはつまり株主であり、それはつまり富裕高齢者であったため、消費に回らなかったから(日本全体としてのお金は増えたにも関わらず、消費が増えなかったことがデータで示されている)。

 

さて、本書では提言として、団塊世代の定年退職による人件費の減少分を企業利益(=株主利益=富裕高齢者利益)とするのではなく、現役労働者、特に購買意欲の強い若年層への所得増を行うべきと主張している。

それにより消費が増え、結果として企業収益も高まるという。

これはすごく当たり前のことだ。給料を減らせば、消費が減って、企業の収益は下がる。こんなことがわざわざ本に書かれるなんてどうかと思う。

ただ一方で、今の若者は、将来的に所得増が見込めない状況を想定しており、「少ない収入の中で満足すること」に順応している。「嫌消費世代」とも言われるほどである。

つまり、若者がお金を得たからといって、日本経済に貢献する(日本製品を日本で買う)かどうかは不明だ。むしろ、海外支援をしたりする若者のほうが多いかもしれない。

とはいえ、1400兆円の国民貯蓄のうち400兆円を占めている65歳以上の貯蓄に、流動性を持たせる方策は必要だろう。

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