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2011年1月16日 (日)

Bookレビュー2011-4 太田 聰一『若年者就業の経済学』

労働経済の観点から、若年者(15-35歳、主に15-22歳)の就業について考察した本。

戦後からの経済的な変化や、地域差、中高卒と大卒の格差、雇用政策など、多面的に分析している。

経済数学を多く使って分析をしているが、解説がついているので知識が無くても読める。

本書でとりわけ興味深かったのが、「雇用保障が若年者の就業を妨げている」という指摘だ。

そういう意見は、勝間和代氏を筆頭に以前からあるのだが、ちゃんとデータで示されると、理解が深まる。

つまり、「正社員は解雇しにくい」ということが問題なのだ。

第1に、企業は既に中高年の正社員を多数抱えている。

第2に、将来的な見通しが立ちにくい現在の経済状況において、将来にわたって雇用を保障しなければならない正社員の採用は企業にとってリスクが大きい。長期的な教育を必要とする新卒採用はなおさらである。

第3に、法的な問題により、企業が業績不振により解雇を行う際には「解雇する事態を防ぐために行うべき企業努力」として新規採用の停止が必要とされている。採用を行っている場合は、人件費削減のための解雇は無効らしい(もちろん退職金の割増などで本人が納得していれば別だ)。つまり、人材を「入れ替えて」業績を立て直そう、ということは実質的に不可能なのだ。

以上のようなことが、「既得権としての正社員」を生み出し、新規の正社員採用を抑制させ、「使い捨てのバッファとしての非正規社員」にシフトしている、というわけだ。

 

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