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2010年12月29日 (水)

BookレビューVol66 スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー「ヤバい経済学」

本書のテーマは(あとがきでも書かれているけれど)、「インセンティブ」だと思う。

インセンティブがあるとき、人はどのように行動するのか?

いや、「実際、人々はどのように行動したのか」というデータを、分析したものが、本書の内容である。

例えば、7勝7負の力士(なんか、相撲は15試合あって、8勝するかどうかがキーポイントらしい)は、次の試合に勝つ確率が、80%まで跳ね上がるという。そして、面白いことに、同じ対戦相手との次の試合は、負ける確率が同じくらい高い。つまり、裏で「今回は勝たしてやるから、次はオレに勝たせろよ」という八百長が成立している、と推測している。

他にも、不動産屋が自分の家を自分で売るときは、依頼された家を売るときよりも、時間をかけて3%高く売っているという。

また本書では、社会で起こっている様々な経済学的でない出来事も分析している。

例えば、麻薬の売人を4年間した場合、6回逮捕され、2.5回負傷し、4人に1人は殺される。これは、死刑囚が死ぬ割合と対して変わらない(本書では、もっとも多く死刑が執行されたテキサス州でも2003年に死刑囚の5%しか死刑が執行されてないと書いている)。

また、アメリカにある銃の数と銃で死ぬ人数に対して、アメリカにあるプールの数とプールで死ぬ子供の人数のほうが100倍多いという。つまり、プールのほうが銃より100倍危険だというのだ。

さらに著者は、相関と因果関係に対しての注意を何度も呼びかける。

例えば、雪が降った日が寒かったとする。

それって、寒いから雪が降ったのか、雪が降ったから寒いのか、それとも相互的に作用する関係がある(寒いほうが雪が降りやすいし、雪が降ったら寒くなりやすい)のか、それとも全然関係ないのか、を慎重に見極めろ、というメッセージである。

あと、やはり一番大きなテーマは、「中絶の合法化が犯罪の減少を引き起こした」という分析だろう。それでも「犯罪の減少のために中絶を推進すべきだ」とは書いていないところが、この本が「経済学」である所以だと思う。

 

価格って何だろう?

経済学者でなければ、たぶん、モノの価格と言えば単純に、それに払う金額のことだと思うだろう。そうだな、近所のお気に入りのレストランで食べる日曜のブランチに払う代金、とか。でも、経済学者にとって、価格にはもっと幅広くいろんなものが含まれる。テーブルが空くまで待っていた20分間は価格の一部だ。食べたご飯そのものに、身体に悪い面があるならそれも価格の一部だ。経済学者のケヴィン・マーフィーの計算によると、健康に対する長期的な影響の点で、チーズバーガーはサラダよりも2.50ドル高い。道徳的コストや社会的コストも計算に入れないといけない。たとえば、あなたがハンバーガーを頼んだときに、一緒にご飯を食べた完全菜食主義者がくれた軽蔑のまなざしとか。レストランのお品書きにはチーズバーガーは7.95ドルだって書いてあるかもしれないけれど、どう見てもそれは始まりにすぎない。 (P302)

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