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2010年11月28日 (日)

11/28 今、『就活のバカヤロー』を読むからこそ見える就職活動の難点

2008年11月に発行され「就職情報会社に踊らされる就職活動」を風刺した『就活のバカヤロー』は学生、大学関係者、企業の人事担当者などから大反響を集め、ベストセラーになった。

ただ、忘れてはいけないのは、この『就活のバカヤロー』はリーマンショック以前に書かれたものだということだ。

当時は新卒売手市場だったのである。就職したくてもできない学生というのは、限りなく少ない時代だったのだ。内定取消などが話題になるのは発行後のことで、その証拠に、本文の中では就職難に関する話題は一切ない。この本で問題提起しているのは「就職活動が抱える構造上の問題点」であって、「就職難の乗り越え方」ではないのだ。

しかしこの直後、リーマンショックによる経済状況の悪化がはじまる。

これにより、『就活のバカヤロー』から始まった「就活の構造問題」と、リーマンショックが原因となった「不況による就職難」が同時に議論されるようになる。

そしていつしか、まるで「就活の構造を改善すれば、学生の就職難は解決する」かのような議論が起こってきた。

しかし、どうも現在の学生の就職難は、就活構造問題とはほとんど関係がないように思う。

就職難の原因は、

1.不況による求人数の減少

2.企業の求める人材の高度化による学生の厳選

  (募集定員に達さなくても採用を終了するという事実)

3.国内産業の空洞化

4.円高による輸出産業の苦戦

5.外国人採用の普及

などであって、就活構造を変えたところで、上記の原因は解決しない。これらのほとんどは政策的な問題であり、地球規模の問題でもある。

上記の中で学生個人が取り組める対策は「2.」だけ、つまり、厳選される学生になるしかない。だから、ジョブウェブの佐藤氏が主張する「上位5%のプロ学生になれ」は、その点では的を射ている。しかし、それだけでは全ての学生が救われないことは明らかだ。

(ちなみに、上記すべてを個人で解決する唯一の方法として、国外で働くという選択があるが、まだ一般的ではない。日本のほうが「まだマシ」という証拠でもある)。

一方で、たとえ経済が回復を向かえ学生の内定率が向上しても、『就活のバカヤロー』で提起された問題は解決しない。その問題とは、

1.就職活動の早期化・長期化による学生生活の阻害

2.学生を囲い込むための名ばかりインターンシップ

3.誇大求人広告をつくる採用側

4.大量の告知による大量の応募を促し、結果、大量の不採用を生み出す就職情報会社

などである。

議論が拡散する中、石渡嶺司さんは一貫してこの問題を提起している。先日のジョブウェブの佐藤社長との議論がかみ合わなかった原因は、ここにあると思う。

参照:<http://www.ustream.tv/recorded/10326653>

実は、これらの構造の問題は「採用側が不利な売り手市場」だったからこそ起こった問題のはずだ。できるだけ早く学生にアプローチし、できるだけたくさんの学生を集めたい、という採用側の思惑が、このような状況を生み出してきた。

(もちろん、ネットというツール無くしては発生しなかっただろうけれど)

ところが、「内定できない学生が多数いる買い手市場」になってからもこの問題が解決しない。それは、「実際は買い手市場ではない」からだろう。

学生は就職先が見つからないが、どこでも良いわけではない。採用側も学生が見つからないが、誰でも良いわけではない。その結果、両方に需給ギャップが生じているという奇異な状態にある。これが、常見陽平さんが主張している「就活断層」だ。

この点の解決に向けては、学生側は社会を良く知り、中小企業に目を向ける必要があるし、企業側にも「学生を育てる資質」が問われるだろう。

とにかく、「就職活動の構造を改善すれば、就職難が解決する」という議論では、何も解決しない。不況で就職難だから『就活のバカヤロー』が反響を呼んだのではないのだ。

その意味で、今、読み返すべき1冊。

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