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2010年8月 7日 (土)

BookレビューVol35 太宰治「人間失格」

とても不思議で、吉田修一と近い空気を感じた作品。

『人間失格』というタイトルだけれど、『人間』というタイトルでも違和感がないだろう。

とにかく、主人公が持つ、「他人」に対する恐怖が、この物語を支配している。

救いはないし、起承転結もない。とにかく、ずるずると堕ちていく様、が、ずるずると語られている。全然、前向きな要素がない。

けれど、それがストレートに飲み込めるのは、物語を動かすエネルギーのようなものが一切なく、慣性の法則に従うような展開によるものだろう。

ちなみに主人公の葉蔵は、27歳で、今の僕と同い年。

(とはいえ、平均寿命が違うから、同じ感覚ではないだろうけど)

また、現代を舞台にした本格コミック『人間失格』もある。こちらはおススメ。

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---本文のひとつまみ---

それは、そうに違いないだろうけれども、人間の心には、もっとわけのわからない、おそろしいものがある。慾、と言っても、言いたりない、ヴァニティ、と言っても、言いたりない、色と慾、とこう二つ並べても、言いたりない、なんだか自分にもわからぬが、人間の世の底に、経済だけでない、へんに怪談じみたものがあるような気がして、その怪談に怯え切っている自分には、所謂唯物論を、水の低きに流れるように自然に肯定しながらも、しかし、それに依って、人間に対する恐怖から解放せられ、青葉に向って眼をひらき、希望のよろこびを感ずるなどということは出来ないのでした。

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