« 5/8 ittala ego コーヒーカップ&ソーサー | トップページ | BookレビューVol.20 野沢尚「破線のマリス」 »

2010年5月 8日 (土)

BookレビューVol.19 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」

タイトルが秀逸。

「やめるってよ」という、他人事なタイトルに暗示されているとおり、実は、作品中に桐島君は一度も登場しない。
 
また、桐島君が部活をやめた原因を解決しよう、とか、
桐島君を部活に連れ戻そう、とか、
そういった話でもない。

けれど、高校という狭い世界では、部活をやめるってだけで、いろんな人に影響を与えてしまうのだ、きっと。
そういう影響を受けた同級生たちの物語。

興味深かったのは、小説全体を包み込んでいる「目立つ(イケてる)男子・女子」と「地味な男子・女子」という対立関係に基づく高校の世界観。
「カッコイイ男子の周りにはカワイイ女子がいて、地味な男子や女子とは遠く離れた存在」みたいな価値観があって、僕はそういうことを一度も感じたことが無かったので、新鮮だった。

小説では、そういう価値観にはむしろ否定的で、地味でイケてない男子が自分の好きな映画には目を輝かせていて、そういう輝くものを持っていないイケてる男子が、そのイケてない男子を羨ましがるようなシーンがあるけれど、そういうシーン自体が上記の価値観を前提としているのだから、やっぱりそういう価値観があるのだ。

みんな、そんなこと考えながら中学、高校と過ごしてるのか?
大変だなぁ。


---本文のひとつまみ---

俺達はまだ17歳で、これからなんでもやりたいことができる、希望も夢もなんでも持っている、なんて言われるけれど本当は違う。これからなんでも手に入れられる可能性のあるてのひらがあるってだけで、今は空っぽなんだ。

|

« 5/8 ittala ego コーヒーカップ&ソーサー | トップページ | BookレビューVol.20 野沢尚「破線のマリス」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1315651/34587187

この記事へのトラックバック一覧です: BookレビューVol.19 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」:

« 5/8 ittala ego コーヒーカップ&ソーサー | トップページ | BookレビューVol.20 野沢尚「破線のマリス」 »